なぜレッスンで歌うのか~ピアノ上達を支える『歌う力』~

こんにちは。小原ピアノ教室の小原です。
当教室ではレッスンの中で「歌うこと」を大切にしています。
ピアノの練習なのになぜ、歌うのでしょう?
実は、歌うことは音感だけでなく、指の動きや表現力、練習習慣まで支えてくれる、とても効果的な練習方法なのです。
今日は、私がレッスンで歌うことを取り入れている理由についてお話ししたいと思います。
習いたてでまだ指が思うように動かない時期には、歌うことが脳と指をつなぐ助けになります。
例えば、うまく指が動かないとき。まず歌ってから弾いてもらうと、驚くほどスムーズに指が動くことがあります。
これは、次に何をするのかを脳が理解し、自分の指に指令を出せるようになるためです。同時に音感も育つので、一石二鳥の練習方法だと思っています。
この効果は、曲が長くなっても変わりません。フレーズ(メロディーのまとまり)が長くなっても、音楽をまとまりとして捉えられるため、次々と指を導いてくれます。
もちろん、レッスンでこんな難しい話を習いたてのお子さんにすることはありません(笑)。
「歌うと上手に弾けるね」
そんなふうに声をかけながら、自然と歌う習慣を身につけてもらっています。
また、楽譜の指示が細かくなってきた生徒さんにも効果があります。
例えば、スタッカートとスラーが入り組んだメロディーが出てきたとします。器用に動く指なら比較的簡単に弾き分けられますが、4番や5番の指は動きにくいため、どうしても弾きやすい弾き方になってしまいます。
お子さんによっては諦めてしまったり(笑)、気付かないふりをしたり(笑)することもあります。
そんな時は、まず楽譜の指示通りに歌います。
最初は歌うこと自体が難しい場合もありますが、根気よく続けます。そして歌いながら弾いてみます。
すると、楽譜に書かれていることと実際に出している音の違いに気付けるようになります。何度か繰り返すうちに、少しずつ弾き分けられるようになっていきます。
歌うことの効果を実感したお子さんは、うまくいかない時に自分から手を止め、楽譜をよく見て「歌う」というステップを取り入れるようになります。
これは練習を支える強い柱になります。
私が特に歌うことの効果を感じるのは、レガート奏法です。
レガートとは、音と音をなめらかにつなげて弾く奏法です。
ピアノを始めたばかりのお子さんによく見られるのですが、鍵盤をボタンのように1音ずつポチポチと押してしまうことがあります。
すると、音がプツプツと切れて聞こえます。
動画で例えるなら「コマ送り」のような状態です。映像としては伝わるけれど、なめらかではありません。
こうなる原因としては、指がまだ軽くて鍵盤の重さに負けてしまうことや、演奏に必要な指の使い方が身についていないことが挙げられます。
この場合は、まず生徒さんの頭の中にある音楽のイメージを変える必要があります。
「こんなふうに鳴らしたい」という音楽を頭の中で再現する方法として、歌はとても有効です。
最初は音楽を感じる余裕がなく、音を間違えないように弾くだけで精一杯の生もいます。
しかし、歌うことで音楽を感じ、それを再現できるようになります。そして再現を繰り返すうちに、少しずつ表現へとつながっていきます。
ただ、この「再現を繰り返す」という作業、つまり反復練習を嫌がる子もいます😂
私にとっても、親御さんにとっても、そしてご本人にとっても踏ん張りどころです。
そんな時も、反復練習の中に歌を取り入れることでハードルが下がります。
例えば、練習習慣がまだ定着していない子に、
「この曲は1日5回弾こう。こっちは1日3回ね。」
と提案することがあります。
もし渋られたら、
「歌→ピアノ→歌→ピアノで交代しながら3回ずつやるのはどう?」
と提案します。
一見すると妥協案のようですが、音楽的にはとても大きな成長につながります。
このように、「歌うこと」は演奏を支える大切な柱のひとつです。
ピアノの練習というと指先の動きに注目されがちですが、実はさまざまな方向からアプローチして育てていくことができます。
これからもレッスンの中で大切にしていることを、少しずつお伝えしていけたらと思います。


