楽語を「日常の言葉」として感じてみる

こんにちは。小原ピアノ教室の小原です。


今回は、楽譜に書かれている dolce(ドルチェ)やAllegro(アレグロ) などの「楽語」について書いてみたいと思います。

楽譜を開くと必ずと言っていいほど目にする言葉なので、私たちはつい「音楽のための特別な言葉」として、真面目に捉えがちです。

イタリア語が多く、和製英語などのカタカナにもなっていないことも、楽譜の外では縁遠い一因なように感じます。


でも、イタリアでは、どれも日常的に使われている言葉なのだそうです。


例えば Allegro(アレグロ)。


日本語では「快速に」「速く」と訳されることが多い言葉です。


イタリアでは、例えばタクシーに乗っていて、「Allegroで行って!」


と伝えたり、

親が子どもに 「Allegro!」と急かしたりすることもあるそうです。


そう聞くと、「快速に」「速く」というより、なんだかもっと緊迫感を感じませんか?


「ゆっくりしていられない!」


そんな気持ちでAllegroの曲を弾くと、演奏するときの心持ちも少し変わってきそうです。 


さらに、「快速」の「快く」という部分からは、作曲家から


「つっかえないでね?」


という圧まで、感じてしまいます(笑)。文字の力って強いですね。

もう一つ、楽譜で登場することの多い楽語に dolce(ドルチェ) があります。


日本語では「やさしく」「甘く」と訳されます。


「やさしく」と「甘く」ー


日本語だけを見ると、なぜこの2つが同じ言葉なのか、少し不思議に感じませんか?


実はイタリア語の dolceは「デザート」 を意味する言葉でもあります。


そう知ると、「やさしく、甘く」という日本語訳にも納得できます。


デザートを食べたときの、あの甘くて幸せな気持ち。


その幸福感を音にする……。


そう考えると、辞典に載っている説明だけでは感じ取れなかった「生きた感覚」が、少し音楽の中に入ってくるような気がします。


余談ですが、私はピアノの先生から「dolce=デザート」と教えてもらいました。


その後、実際にイタリア料理のメニューの中に「dolce」を見つけたとき、


「読めた!」
「意味が分かる!」
という嬉しさから、イタリアを存分に感じようとティラミスを注文しました。 


ところが……
「甘い幸福感」を期待して食べたのに、まず感じたのは苦み。


思っていたdolceと違う!


と、ちょっと戸惑ったことは今でも忘れられません(笑)。


楽語としてdolceを学ぶためにデザートを召し上がるときは、ティラミス以外をおすすめします(笑)。


楽語は、ただ意味を覚えるだけではなく、


「この言葉は、どんな場面で使われるんだろう?」


「どんな気持ちが込められているんだろう?」


と想像してみると、楽譜の見え方や音楽の捉え方が少し変わってくるかもしれません。


言葉の意味を知ることで、音楽の世界がもう一歩身近になる。


そんなところも、音楽の面白さの一つだと思います。 

これらも楽譜が身近に感じられるエピソードを書いていこうと思います。

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